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(since 2002/06/28)

少年少女サッカー 選手育成情報

★目 的

ここでは少年サッカーにかかわる指導者・保護者(家庭)・選手自身、それぞれに役立つ情報を紹介していきます。

★目 次

■発育発達と一貫指導
■コーチング法
■戦術論1<攻撃>
■戦術論2<守備>
■スポーツ医学
■参考文献サイト(リンク集)
  (1)指導論

◆発育発達と一貫指導◆<2001年度少年少女指導員養成講習会より>
1.一貫指導の重要性

◎成長期にある子供達の指導
自立期において、いかに大きく成長させるかを第一の目的とする。
長期的な視野に立ったサッカー選手の育成が重要。
★考え方(1)
・人間の器官・機能の発達速度は一様ではない。
 (すべての子供が同じではないということを認識する)
          ↓↓
・ある課題に対して、吸収しやすい時期としにくい時期がある。
          ↓↓
もっとも吸収しやすい時期にその課題を与えていく。
★考え方(2)
・目先の勝利に目を奪われて、将来の大きな成長を阻害してはならない。
 (やらなければならないことから行う。例:ボールを自由に扱えることが重要)
          ↓↓
・後の発達の妨げになることを取り除いてあげる。
 (特に、膝・足首の障害)
2.発育発達段階に応じた課題

A:プレゴールデンエイジ(5~8歳頃)
★即座の習得の準備段階。
★スポーツの基礎作りが多面的であればある程、後にサッカーを覚えるのが早い。
B:ゴールデンエイジ(9~12歳頃)
即座の習得(一生に一度だけ訪れる非常に特異な時期)。
★あらゆるスキルを獲得できる時期(技術と習慣の形成)。
C:ポストゴールデンエイジ(13~14歳頃)
★クラムジー(骨格の急激な成長により、新たな技術の習得は不利な時期)。
あらゆる面でアンバランス。
★悪い習慣の矯正(今まで身につけて技術・習慣を実戦で発揮させるため)。
★速筋繊維の発達開始。
D:インディペンデンス(15~16歳以降)
自立のための準備期。
★飛躍の年代。
★プレーにおいて個性を発揮できる。

3.目的と手段

(1)目 的
小学生の時に獲得した技術は大人になっても必ず残る財産であるが体力は大人になっても必ず残るという保証はない。
つまり、将来、子供達の「財産」となるものを身に付けさせることが重要である。
(2)手 段
この年代で勝敗を競うことは「最終目的」ではなく、選手育成にとっての非常に大切な「手段」である。

◆コーチング法◆<H13年度少年少女指導員養成講習会より>
1.コーチングの目的

◎サッカーの楽しさを教えよう!
(1)動く楽しさ
⇒活動欲求を満たしてあげる。
(2)かかわる楽しさ
⇒仲間とのかかわり。コミュニケーション能力の発達。
(3)できる楽しさ
(4)わかる楽しさ
⇒動き方がわかる。戦術の理解。
           ↓↓
自分で判断してプレーすることに楽しさがある。
           ↓↓
クリエイティブな選手の育成(最終目的)。
 <局面に応じた、最も適切なプレーができる選手に育てる
2.クリエイティブな選手とは

いい判断ができる + 実戦する能力をもっている
(1)いい判断をするためには
①戦術の理解。
周囲の声。
③身体の向き/姿勢(Good body shape
広い(有効な)視野の確保につながる。
 <身体の向き/姿勢が「目的」ではなく、いい判断をするための「手段」である>
(2)実践する能力をつけるためには
①実践的な技術の習得
◎サッカーの基本 = クリエイティブなプレーのために必要な要素
(1)判断のための要素
⇒視野の確保(広く・有効な視野)。
(2)実践のための技術的要素
⇒キック,ヘディング,ドリブル,ボールコントロールなどのスキル。
(3)メンタリティ(精神)
⇒闘志(1対1のファイト,ゴールを目指す,ボールを奪う)。
3.基本と個性

基本とは、個性をより効率的に発揮させるためのものである。

4.判断に働きかける指導

◎判断の部分に直接働きかけすぎると判断する能力を損なってしまう。
⇒判断のための材料に対してコーチは働きかける。

5.適性人数での指導

◎良い習慣を身に付けさせる指導を行う。
⇒指導者1人が指導できる人数には限界がある。
⇒適性人数は10~15人。

6.テーマに対して焦点を絞った指導

いきあたりばったりの指導(Random Complaints)
⇒選手がテーマを理解し、実践することの妨げとなる。
⇒時には、言いたくても我慢することも必要。

7.実践トレーニングのための要素

(1)判断の要素が含まれている。
(2)ゲームの要素が含まれている。
(3)1人1人のプレーする回数が多く、常に誰もが集中できる状況にある。
(4)上記の(1)~(3)のような設定の中で補えない部分
⇒効率良くトレーニングするためのドリルが行われている(但し、必ずゲームの中に戻す)。
(5)トレーニングを高い集中力正し方向へ導く(良い習慣が身に付くように)ための積極的なコーチングを行っている。

8.まとめ

◎コーチのとって大切なことは、解決法を与えることではない。
          ↓↓
 自ら解決法を見いだす能力を身に付けさせることである。
 (自分で考える力を持たせる)

◎問題点がトレーニング&コーチングで改善したら、必ず「誉める」。

◎良い点はトレーニング&コーチングで「誉め」て、伸ばす。

◆戦術理論1<攻撃>◆<H13年度少年少女指導員養成講習会より>
1.攻撃における個人戦術

◎ボールを持っているとき
(1)判断(ドリブルかパスかの選択)
ボールをコントロール下におき、ボールから目を離し、相手味方スペースの状況を把握する。
<ポイント>
★良い状況判断をするためには
①良い身体の向き(Good Body Shape)
       ↓↓
②有効な視野の確保
・攻撃方向への視野=ゴール・相手・味方・スペースの状況判断
       ↓↓
③判断   
・いつ = タイミング
・どこ = 方向
・どのような = 技術の選択
(2)ドリブルを選択
例1.ラン・ウィズ・ザ・ボール
例2.ドリブルとフェイント
例3.スクリーンとターン
(3)パスを選択
①パスの優先順位は相手と味方の状況によって変わる。
a)シュート
b-1)相手の背後
b-2)前方へのパス(できれば前を向かせるパス)
②パスの質(方向・強さ・タイミング)
③味方とのコミュニケーション
(アイコンタクト,指示の声(ターン,マノン,落とせ等))
◎ボールを持っていないとき
(1)判断(次に何をすべきか)
ボールと攻撃方向を同一視できるポジションをとる。
<ポイント>
★良い状況判断をするためには
①良い身体の向き(Good Body Shape)
       ↓↓
②有効な視野の確保
・攻撃方向への視野=ゴール・相手・味方・スペースの状況判断
(2)動 作
①動きの優先順位
a)相手の背後をねらう。
b)前方でパスを受ける(できれば前を向く)。
  ⇒これらを可能にするためにチェックの動きが必要となる。
②スペースを作る動き(おとりの動き・けん制)
③ボール保持者とのコミュニケーション
(アイコンタクト,指示の声)

2.突破のためのグループ戦術

◎突破のためのコンビネーションプレー(グループ戦術)
(1)ドリブル突破(見方のサポートを利用して)
ボールを直接もらうだけでなく、味方選手がドリブル突破を可能にするスペースをつくる。
(2)スルーパス
DFとDFの間にパスを出して、DFの背後(またはGKとの間)のスペースで味方選手がボールを受ける。
(3)壁パス(ワン・ツー・パス)
(4)クロスオーバー
スウィッチ(クロスオーバー)しながらボールを受けわたす。
(5)オーバーラップ
ボールを持っている味方選手を追い越しながらパスを受ける。
(6)第3の動き
ボールを持っている味方選手1がパスを受ける味方選手2にボールが出た時、味方選手3がすでに味方選手2からパスを受けるために動く。
この動きは味方選手1からパスを受けようとしているのではなく、味方選手2からパスをもらうための動きで、クリエイティブで予測・読みをしながら動くことが重要になる。

◆戦術理論2<守備>◆<H13年度少年少女指導員養成講習会より>
1.守備における個人戦術

◎ボールを持っている相手選手に対しての守備
(1)相手選手と自陣のゴールを結んだラインにポジションをとる(基本)
(2)プレッシャーをかける
相手選手との間合いを詰めて、プレッシャーをかける。
この時、プレッシャーが甘すぎ、相手選手との間隔が遠すぎると、シュート/パス/ドリブルなど、相手選手に自由にプレーする時間を与えることになる。
(3)ボールを注視する
相手選手のフェイントにかからないように、相手選手の動作をみるのではなく、ボールをよく見る。
◎ボールを持っていない相手選手に対しての守備
(1)正しいポジショニング
①相手選手と自陣のゴールを結んだライン上を意識する。
a)ただし、カバーリング(守備のグループ戦術)のことを考えれば、相手選手と自陣のゴールを結んだラインからやや内側にポジションをとることになる。
b)また、カバーリングの角度や距離によってもポジションをとる位置は違ってくるので、指示の声が大切になる。
  例:「縦を切れ」
②相手選手とボールを同時に見れる身体の向きを確保する。
③チャレンジが可能で、かつ自分の裏のスペースを取られないような相手選手との間合い(距離)を保つ。
チャレンジとは、相手選手からボールを取るためのDFの動きのこと。
(2)アプローチ
①相手選手がパスを受けるまでにできるだけ、相手選手に寄せる(間合いを詰める)。
②相手選手のパスを受けて、ボールをファーストタッチする時に、両足を地面につける。
相手選手のあらゆる動きに対応できる体勢をつくる。
(3)チャレンジ(相手選手からボールをとるためのプレー)の優先順位
インターセプト
相手選手にパスがわたる前にパスをカットする。
⇒失敗を恐れずに、どんどんねらう。
タックリング
相手選手がボールをコントロールした瞬間にボールをとる。
⇒ボールをとる時にボールを足でつつくのではなく、身体を相手選手とボールの間に入れてとる。
振り向かせない
相手選手との間合いを考えながら、相手選手に前を向かせないようにする。
⇒相手選手に近すぎると身体を入れ替えられて振り向かれてしまう。
⇒相手選手から遠すぎると自由にプレーする時間を与えてしまう。
ディレイ(遅らせる)
a)相手の攻撃スピードをダウンさせる(カウンター攻撃を防ぐ)。
b)むやみにボールをとりに飛び込まないようにする。
c)ジョッキー(ボールをもった相手選手を特定(自陣のゴールから遠い)の方向へ追いやる。)
2.守備のためのグループ戦術

◎チャレンジとカバー(グループ戦術)
(1)第1ディフェンダー(ボールをもっている相手選手をマークしてるDF)
正しいポジショニングからプレッシャーをかける。(「1.守備における個人戦術」参照)
(2)第2ディフェンダー(ボールをもっていない相手選手をマークしてるDF)
a)カバーリングも考え、角度や距離に注意してポジショニングをとる。
b)指示の声をかけることが非常に大切になる。
※相手選手がパスをした瞬間から、チャレンジ(ボールをもっている相手選手に対する守備)と
 カバー(ボールをもっていない相手選手に対する守備)の役割が変わる。

◆スポーツ医学◆<H13年度少年少女指導員養成講習会より>
1.発育期のスポーツ傷害

◎成長期の身体の特徴
(1)骨が成長する骨端線がある。
(2)筋肉・腱は柔らかいが、それに付着している骨の部分が損傷を起しやすい。
(3)関節の柔軟性が大きいため、大きな外力が加わると脱臼よりも骨端線に損傷を受けやすい。
           ↓↓
★使いすぎによるスポーツ傷害(オーバーユース症候群)に注意。
1-オスグッドシュラッター病(ヒザ)
2-踵骨骨端炎(踵(かかと))
★一般的に骨端線が見られる時期は過度な筋力トレーニングや局所に負担のかかる長時間の運動は避けるべき。
★発育期のサッカー選手の痛みは組織が炎症を起していることを示す危険信号なので、痛みを感じたらまず休ませることが必要。
2.暑熱対策

熱中症 ⇒ 重症 ⇒ 死!
★熱中症の病型・症状
項 目 病 態 症 状
1.熱失神 皮膚血管の拡張による循環不全 ●顔面蒼白・めまい
●呼吸の増加脈が速く、弱くなる
●血圧低下
●失神
2.熱疲労 大量発汗による脱水 ●脱力感・倦怠感
●めまい・吐き気
●頭痛
3.熱痙攣 血液の塩分濃度の低下 ●上・下肢の筋肉の痛みを伴った痙攣
4.熱射病 体温上昇のため中枢機能異常を起した状態 ●異常な体温の上昇
●意識障害
・応答が鈍い
・言語がおかしい
・意識がない
死亡する場合あり

★予防法
(1)暑いときには無理をしない。
<25~28℃(黄色信号),28~30℃(赤信号)>
環境条件に合った、運動・休息・水分補給を行う。
(2)高温訓化
徐々に暑さへ慣れさせる(最低3日はかかる)。
(3)常に水分補給をする。
体重の3%が失われると運動能力や体温調節能力が落ちる。
◆持病がある子供は暑さにも弱い。
★救急処置法
(1)運動をすぐに中止し、涼しい場所で休ませる。
(2)水分を補給する。
(3)頭部を低くし、手足を末梢から中枢に向けてマッサージする。
(4)冷水で身体(首・脇・股関節の動脈を冷やすと良い)を冷やし、周囲よりあおぐ。
(5)体温上昇が著明になり、意識障害が出たら速やかに医療機関へ受診させる。
3.ケ ガ

◎ケ ガ(2つに分けられる)
(1)外 傷⇒打撲,捻挫,骨折,脱臼,擦過傷,キズ
(2)障 害⇒(小学生) ・足首の周囲の痛み
       ↓       ⇒小学生全体の60%が足首に集中
       ↓     ・膝の周囲の痛み
       ↓     ・アキレス腱炎
       ↓      (地面が固い、身体がかたい人がなり易い)
       ↓     ・肉離れ→小学生⇒疲労性筋肉痛
     (高校生)   ・腰痛
★障害は見てもわからない。
症状:びっこをひく。
⇒やらせるか休ませるかの判断が難しい。
◎外傷の救急処置法
(1)打撲,捻挫,肉離れなどの場合・・・・RICE処置
(内出血を最小限に食い止める方法)
R:Rest⇒安静にする
I:Ice ⇒氷で冷やす
C:Compression⇒圧迫する
E:Elevation⇒挙上する
<ポイント>
①絶対に腫れさせない
⇒腫れさせてしまったら治るのが遅くなる。
②10~20分くらい氷で冷やし間隔をあけてまた冷やす
注)神経部分を冷やすと神経麻痺を起すことがある
⇒タオルを当てて冷やす
③ケガした直後だけでなく家に帰ってからも冷やす
⇒その場では腫れていなくとも後で急に腫れてくることもある
④圧迫するときにしめ過ぎに注意する
◆捻挫
・テーピングは長く使用しない
 ⇒ケガからの復帰直後の1・2回のみにする
(2)皮膚に傷がある場合
★異物の除
★止血
●止血の部位,広さ,深さ,の確認を必ず行う
●タオル・ガーゼで押えて圧迫し,更に冷却する
●寝て処置を行うようにする
★高挙

(3)骨折が疑われる場合(小学生の場合)
★部位-手,手首周辺が多い(足よりも)
★状態-変形している⇒即,病院へ
-変形なし⇒しなり骨折,若木骨折
-腫れなし⇒じわじわ腫れてくることが多い
★骨折かどうかの判断
①手を前後に動かすことはできても,回旋はできない。
②骨折部分を押すと圧痛を感じる。
★小学生は脱臼は少ない
⇒骨折になってしまう
★固定方法(手首の場合)
⇒指の第2関節から肘の上まで固定する
骨折部分から両側(上下)に2つ目の関節のところまで固定(部位共通)
★三角巾は救急箱に必ず入れておくこと
⇒子供の骨折は手が多いため
★腕を骨折した場合,手首の関節に近いほど早く治る
(中になるほど治りが遅くなる)
★脱臼は無理に治さないこと
⇒骨折の可能性が高いから
★肘の骨折
⇒後遺症が残る可能性がある(手術・入院することが多い)
⇒肘を打って痛みが激しい場合は必ず病院へ行く
◎小学生に多い傷害
(1)足首
★くるぶし・甲の内側が腫れている・出っ張っている
⇒軟骨の盛り上がりが正常でない
          ↓↓
「骨端炎」(小学3~5年生に多く見られる)
⇒骨端線(=成長線)の炎症
(2)踵の痛み
★10~11歳(小学5年生前後)に多い
★処置方法
・冷やす
・運動量を減らす
・スパイクからトレーニング・シューズに履き替えて運動を行う
・腫れがひどい場合⇒休ませる(7~10日ぐらい)
(3)オスグッドシュラッター病
★小学6年生~中学生に多い
★軽いケースの場合はやらせても大丈夫
⇒将来,大きな傷害になることはない(出っ張りが残るくらい)
4.ウォーミングアップ・クーリングダウン

◎ウォーミングアップ
(1)筋温が高まって行動力が増し,障害の予防につながる(身体的準備
(2)練習や試合に対する集中力を高めさせる(精神的準備

◎クーリングダウン(ウォーキング・ストレッチングなど)
筋肉中の疲労物質である乳酸が速やかに除去され、疲労回復を促進させることができる

5.休息(成長に関わる)

◎スポーツ選手は規則正しい充分な休養や睡眠を取ることが大切である
(1)積極的休養
・運動直後は安静にしてゆっくりと身体を休ませる
(2)消極的休養
・充分な睡眠を取った後に散歩や水泳をしたり,身体を動かしながら行う休養
6.栄養素の役割

◎5大栄養素(炭水化物,脂肪,タンパク質,ミネラル,ビタミン)をバランス良く,かたよらないように食べることが大切である

補助栄養剤を単独でとっても意味がない

◎身体を作るトレーニング期の食事
⇒肉や魚をより多く摂取し,筋肉をつくる食事

試合前(キックオフの3~4時間前)の食事
⇒炭水化物とビタミン(フルーツや生ジュース)を中心とした食事
(1)エネルギー源
炭水化物(効果が一番早い)
・脂肪
(2)体(筋肉)をつくる
タンパク質(効果が一番遅い)
(3)身体の働きを調整する
・ミネラル
・ビタミン

■参考リンク
1.指導論
Soccer Review
  (戦術について考察し、ポジショニングや動き方を中心に書かれている)









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